ビーコア代表の水野です。ビーコアの NOTE の開設が 2019 年 10 月ですから、もうすぐ3年になります。NOTE 記事をいつも執筆している広報担当の聡美さんより、「NOTE 記事をみんなで書いて盛り上げていこう!」とのたいへん建設的な提案もあり、トップバッターとして僕がなにか書きましょうとのことになりました。
なにか書くといっても、業務に関連することは聡美さんがしっかり書いてくれていますので、僕は業務となんら関係のない趣味的なこと、好きなことを書くことにしました。 大丈夫かな~
第一回目は水中写真撮影についてです。 ここでいう水中写真とは、ダイビングしながら写真撮影をすることです。
ダイビングのライセンスを取得したのはもう 30 年以上も前の 1991 年です。当時はバブル時代で、映画「私をスキーに連れてって」でスキーを大流行させた制作チームが、1989 年に 「彼女が水着にきがえたら」で原田知世にダイビングをさせて、スキーの次はダイビングが流行りました。そんな時代です。
オープンウォーターライセンス取得後、最初の 5 年ぐらいはただただ潜るのが楽しくて頻繁に潜水していました。その時期はカメラ無しでのシンプルな潜水です。水中景色を観て浮遊する感覚がとても好きでした。その後は仕事が忙しくなったり子供ができたりして全 く潜水しないブランク時代がありましたが、息子がライセンス取得可能な年齢になり再開しました。水中写真を始めたのは 2005 年ぐらいからです。しばらくは、普及型コンデジ と水中ライトのシンプルなシステムで、ダイビングをしている息子やクマノミ・ウミガメ・サメ・エイなど定番の被写体を撮影し、いわゆる記念写真的な写真で満足していました。当時撮影した写真を今見返してみると、懐かしさはあるもののプリントして人に見せたい写真は皆無です。写真は焼いて額装して壁に飾って初めて作品となると今では考えます。
📷 写真展@カンダコーヒー 2018 年
撮りたいものが分かってきた 2013 年ぐらいから、段々と欲が出てくるようになり、コンデジも高級機へと移行し、ライティングも水中ストロボを追加したりしてシステムは大型化していきました。コンデジ高級機でもたまに気に入った写真が撮れるようになりました。 しかし、インドネシアの辺境で知り合ったドイツ人のカメラマンと懇意になり、いろいろと教えてもらっているうちに、ハイアマチュアやプロのような写真撮影はこの機材では無理と悟りました。コンデジではオートフォーカス性能に限界があり、ここぞというシャッターチャンスを逃してしまうことが多々あります。また、レンズの切れ味とボケ味も足りませんでした。
元来、僕は中学生の頃からカメラ好きでフィルムカメラ時代にはニコン F3 に KODAK TRI-X やフジクロームベルビアを入れて写真を撮りまくって来ました。白黒写真は現像とプリントも自分でやりました。デジタルカメラへの移行は 2004 年からで、最初は SONY のコンパクトカメラからスタートして、ニコンのデジタル一眼やキヤノンの高級コンデジ、オリンパスの PEN を経由して今はオリンパスの OMD に落ち着いています。(マイクロフォーサーズの規格が好きで、オリンパスと Panasonic Lieca のレンズを愛用しています。)
2015 年にいよいよ陸上で愛用していた初代 OMD(サッカー日本代表の本田圭佑が宣伝していた)の水中ハウジングを購入し水中撮影にも使うようになりました。現在のシステム は OM-D E-M1 Mark II に M.ZUIKO 60mm F2.8 Macro をつけて、専用ハウジングにストロボ2灯と水中ライト1灯または 2 灯(ナイトダイビング)で落ち着いています。なんでも撮影するのは止めて、マクロ専業です。ウミウシ・エビ・カニ・ダンゴウオなどの数センチから数ミリの小さい被写体がメインです。ウミガメやサメは今でも大好きですが撮影条件の全く違う二兎を追っても良い結果は得られないので、小さいものに特化したシステムを組んでいます。
📷 機材の変遷
深度 15 メートルより深いエリアでは、とにかく高輝度のライトとストロボで明るくしないと光量不足で思い通りの写真は撮れないので、光源はたくさん持っていきます。BC ジャケットにはエキストラの補助光源として画角の違う広角と望遠の水中ライト2本ぶら下げて、バディーに補助光当ててもらったりもします。
話は脱線しますが、陸上ではこのカメラに M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO をつけています。このレンズは別名「悪魔のレンズ」という愛称がついている神レンズを超える万能レンズです。若い頃から数々のレンズと戯れてきましたが、「悪魔のレンズ」 の呼び名に嘘偽りはないと思います。多少重いというぐらいしか欠点がありません。単焦点レンズでは Panasonic LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 が好きです。「悪魔のレン ズ」にはない独特の美しいボケ味と雰囲気があるので、なんでもないスナップがアートっぽくなります。絞り開放で使用すれば暗い室内でもストロボはほぼ不要です。しっとりとした湿度感すらある味わいのある絵はなかなかスマホの写真では到達できない領域です。
オリンパスで水中システムを組んでいる理由ですが、一眼レフの中ではコンパクトでやや軽めというのが最重要ポイントです。いろいろ装着すると一眼レフの水中写真システムは凄まじい重量となります。水中に入ってしまえば浮力があるので気になりませんが、水中に入るまでが相当に身体に堪えます。特に岩場でのビーチエントリーとエグジットの時の重さは洒落になりません。油断すると腰をやられたり、転んで大量の塩水を飲む羽目になります。オリンパスのシステムでもビーチエントリーは気が重くなりますが、ニコンやキ ヤノンのヘビー級よりはかなりましです。カメラ性能や画質は僕にとっては充分すぎるほど高性能です。敢えて重たいフルサイズセンセー搭載機を選択するよりはマイクロフォーサーズ機で充分と考えます。重たいといえば、撮影旅行に出かけるときは大量の電池(単 3 と単 4 あわせて 30 本以上とたくさんのリチウムイオン電池)と充電器も持っていくので機材の総重量は相当に重たいです。体力勝負です。
機材のことばかり書いてしまいましたが、水中でのダイビングスキルもとても重要です。 どんなに良い機材を持ち込んでもダイビングが下手では良い写真はなかなか撮れません。 海流のある水中で、姿勢を保持して写真がブレないようにするのは体幹の強化はかかせません。できるだけ長時間水中にいたいので、エアを長持ちさせるために太りすぎないことも重要です。肥満はエアの消費を早めます。僕は一番太っていた頃から 10KG 以上痩せて、エアの持ちは格段に良くなりました。エアに余裕があるとじっくり被写体と向かい合えるようになります。
📷 ガラスハゼ 撮影中@奄美大島 🤿
そんなこんなの苦労を楽しみながら、水中写真撮影に励んでいます。
僕がビーコアでの仕事、画像処理周辺事業に興味を持てるようになったことと、写真やカメラへの偏愛は無関係ではありません。映像の中からマーカーを抽出してデータを活用する colorbit の開発チームと設立メンバーがオリンパス出身者だったことも、オリンパス愛の強い僕には大きな魅力でした。(オリンパスの映像事業が 2020 年に事業譲渡されたのはショックでした・・・今後どうなるんだろう)
目標に向かって、いろいろ工夫したり、機材のことを考えたりトライ&エラーを繰り返し たりする行為は、根っこの部分では僕の趣味の水中写真撮影でやっていることに近いものがあります。なので、会社の技術者がやりたい実験、欲しがる機材についてはついつい 甘々となって購入に直ぐ OK を出してしまいます。若手のやっている実験を見ると、あれもしたらこれも試したらとついつい余計な口出しもしてしまいます。オンラインの在宅勤務が主体の世の中になっても、会社に行っていろいろ試行錯誤したり手を動かして実験したりするのがワクワクする会社であって欲しいと願います。ビジネスなので、厳しさはもちろんありますが、楽しみながらなにかを生み出していく社風は皆で造っていけたらいいなと思ってます。
とにかく、考えてみることである。工夫してみることである。そして、やってみることである。失敗すればやり直せばいい。
ー 松下幸之助
🆕 お知らせ
2022 年 11 月 7 日〜20 日まで神保町・カンダコーヒーで水野が写真展を開く予定です。
美味しい自家焙煎のコーヒーと共に、美しい水中写真をお楽しみいただけます。
☕️ カンダコーヒー/Google Map